おかあさん

本の紹介

久貝清次(宮高7期)

43篇の受詩と受画からなる詩画集です。

着彩された絵具のかすれから、自然と浮かび上がってくるイメージに絵具を重ね制作された半具象の絵「受画」と、全てひらがなとカタカナで書かれた「受詩」。

イマジネーションは、与えられるものという作者の姿勢は、自らが名づけた受詩・受画という言葉からもうかがい知ることができます。

全篇を通して、創作の根底に、幼少時代の戦争体験による平和を希求する強い思いと、生まれ育った母なる宮古島、生命、自然への思いが反映され謳われています。

「しきゅうはちきゅう」の詩中に、しきゅうはちきゅう/ちきゅうはしきゅう/で始まり、・・・・・・うちゅうのこきゅうでいかされる/とあります。
澄んだ懐かしさを覚えるのは、誰もが一度は子どもだった母体の宇宙で漂っていた記憶なのかもしれません。

受詩受画「おかあさん」は、第28回山之口貘賞を受賞。